ストロング系の販売中止・撤退の背景と今後の展望
アルコール度数8%以上の缶チューハイ、いわゆる「ストロング系」は、安くて酔いやすいという特徴から、若者や女性を中心に人気を集めてきました。
しかし、近年は健康志向の高まりや、飲酒に対する社会的な規制の強化などにより、市場は縮小傾向にあります。
そのため、ビール各社はストロング系の販売から撤退する動きを見せていますが、その理由や今後の展望はどうなっているのでしょうか?
他にも気になったことを調べています。
豚汁が外食でブームになっている理由とは?現代人らしい理由も? - わさビーフンのメモブログ
ニトリの糖質カット炊飯器が景品表示法違反に!その理由とは? - わさビーフンのメモブログ
ストロング系の販売中止・撤退の理由
ビール各社がストロング系の販売から撤退する理由は、主に以下の3つに分けられます。
- 健康面での課題
- 市場の縮小
- イメージの低下
まず、健康面での課題としては、ストロング系の飲酒がアルコール依存症や大腸がんなどのリスクを高めるという指摘があります。
厚生労働省は2024年2月に、ビールロング缶1本のアルコール摂取でも大腸がんの発症リスクが高まるとするガイドラインを発表しました。
また、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦氏は、ストロング系は「危険ドラッグ」として規制すべきだと主張しています。
これらの情報は、消費者の健康意識を高めるとともに、ビール各社の社会的な責任感を刺激するものとなりました。
次に、市場の縮小としては、ストロング系の需要が減少しているという現状があります。
調査会社インテージによると、2020年に約1776億円だったストロング系の販売額は2023年に約1365億円にまで減少しました。
その要因としては、コロナ禍による外出自粛や飲食店の営業時間短縮などの影響や、飲酒に対する若者の関心の低下などが挙げられます。
また、飲酒に対する価値観の多様化も影響しており、飲めるけれどあえて飲まない「ソバーキュリアス」や、低アルコールやノンアルコールの飲料を選ぶ傾向も見られます。
最後に、イメージの低下としては、ストロング系のブランドが持つネガティブな印象があります。
ストロング系は、安さや酔いやすさを売りにしてきましたが、それが逆に「安物」「酒乱」「ダサい」などのレッテルを貼られる原因になりました。
特に、若者や女性は自分の飲酒スタイルにこだわりを持ち、おしゃれや高級感を求める傾向が強いため、ストロング系には興味を示さなくなりました。
また、ストロング系の空き缶が街中に散乱するなどの社会問題も、イメージの低下に拍車をかけました。
ストロング系の今後の展望
ビール各社がストロング系の販売から撤退する動きを見せていますが、それは完全な撤退ではなく、戦略的な撤退と言えるでしょう。
アサヒビールやサッポロビールは、ストロング系の新商品を販売しない方針を示していますが、既存商品の販売は継続しています 。
また、サントリーは「-196℃ ストロングゼロ」、キリンは「氷結 ストロング」のブランドで、ストロング系で強い販売力を持っており、撤退には慎重な姿勢を示しています。
これらのビール各社は、ストロング系の市場に一定のニーズがあることを認識しており、そのニーズを満たすために、品質や価値の向上に努めています。
一方で、ビール各社は、ストロング系以外の飲料にも積極的に取り組んでいます。
特に、低アルコールやノンアルコールの飲料には注目が集まっており、健康志向や飲酒に対する多様なニーズに応える商品が次々と登場しています。
例えば、アサヒは主力ブランドの「スーパードライ」で、度数が3.5%と低い「ドライクリスタル」を発売しており、売れ行きは堅調だとしています。
また、サントリーは「オールフリー」のブランドで、ノンアルコールのビールテイスト飲料やカクテルテイスト飲料を展開しており、市場シェアを拡大しています。
まとめ
ストロング系の販売中止・撤退の背景には、健康面での課題や市場の縮小、イメージの低下などがあります。
しかし、それはビール各社がストロング系から完全に手を引くということではなく、戦略的に撤退するということです。
ビール各社は、ストロング系の市場に残るニーズに応えるとともに、低アルコールやノンアルコールの飲料にも力を入れています。
今後は、飲酒に対する価値観の多様化に対応した、新しい飲酒文化が生まれる可能性があります。